株式を選ぶ指標について。株式投資をする際には、どのような指標に注目すべきなのか、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
まずは、株式投資とは何かをおさらいしましょう。株式投資とは、企業が発行する株式を買い、保有している間に購入時よりも価値が上がれば利益を得ることができる投資のことです。株式市場は、経済や企業業績の動向によって変動するため、リスクがある投資です。しかし、一方で企業の成長や業績改善によって高いリターンを狙うことができる魅力的な投資でもあります。
株式を選ぶ指標とは
株式投資において、どのような指標に注目すべきなのでしょうか。株式を選ぶ指標とは、企業の業績や財務状況、株価などを判断するための基準のことです。以下に代表的な指標を紹介します。
1)株価収益率(PER)
PERとは、株式市場において企業の株価を評価するための指標の1つです。PERは、企業の株価を1株あたりの利益(EPS)で割った値を示します。つまり、PERが高いほど、株価がEPSに比べて高くなっているということになります。
例えば、ある企業の株価が1000円でEPSが100円の場合、その企業のPERは10倍となります。この場合、10倍という数字は、投資家にとってどういう意味を持つのでしょうか?
PERが高いほど、株価がEPSに比べて高くなっているため、株価に対してEPSが低い場合、つまりPERが高い場合、その企業の株価が過剰評価されている可能性があります。逆に、株価に対してEPSが高い場合、つまりPERが低い場合、その企業の株価が過小評価されている可能性があります。
また、PERは企業の成長性を評価するためにも使われます。通常、成長期にある企業は、将来的にEPSが増加することが期待されるため、PERが高くなります。一方、成熟期にある企業は、将来的にEPSがあまり増加しないことが予想されるため、PERが低くなります。
このように、PERは企業の株価評価や成長性を評価するための重要な指標であり、投資家にとって重要な情報となります。しかし、単一の指標だけで企業の株価を判断することはできず、他の指標や企業の業績などを総合的に判断する必要があります。
最近では、PERに代わる新しい指標が提唱されています。例えば、EV/EBITDAという指標は、企業の全体的な価値を評価するために使われます。EV/EBITDAは、企業の純利益に減価償却費を加えたEBITDAを、企業の純有価証券額(EV)で割った値を示します。この指標を使うことで、PERだけでは判断しきれない企業の潜在的なリスクをより正確に評価することができます。
投資家は、PERやEV/EBITDAなどの指標を使って、企業や市場の動向を分析することが重要です。しかし、これらの指標を使っても、100%正確な判断を下すことはできません。投資は常にリスクが伴い、そのリスクを最小限に抑えるために、投資家は慎重かつ綿密な分析が必要となります。
2)EV/EBITDA
EV/EBITDAは、企業の評価指標の1つであり、企業価値(Enterprise Value)を企業の営業利益(EBITDA)で割ったものです。
EV/EBITDAの計算式は以下のとおりです。
EV/EBITDA = Enterprise Value ÷ EBITDA
企業価値とは、企業の株式や債券などの資産価値に加え、現金や短期債務などの負債も含めた総合的な評価です。企業価値は、株式の時価総額に加えて、債務の額やキャッシュフローの将来性なども考慮されます。
一方、EBITDAとは、企業の営業利益(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)のことを指します。EBITDAは、企業の収益力を評価する指標の1つで、営業利益に税金や減価償却費などを加算したものです。
なぜEV/EBITDAが重要なのか?
EV/EBITDAは、企業の業績を総合的に評価する指標として、投資家やアナリストの間で広く用いられています。
EV/EBITDAは、企業価値と営業利益を直接比較することで、企業の業績をより分かりやすく評価することができます。また、EBITDAは、非現金的な費用である減価償却費を含んでいるため、企業の資産価値やキャッシュフローに影響されにくい指標としても有用です。
さらに、EV/EBITDAは、企業の業種や業界の平均値と比較することで、その企業が適正な評価を受けているかどうかを判断することができます。たとえば、同じ業界の企業でも、業績や財務状況が異なるため、EV/EBITDAが違うことがあります。そのため、他の企業と比較することで、自社の評価を客観的に分析することができます。
EV/EBITDAのメリットとデメリット
EV/EBITDAのメリットは、以下のとおりです。
・企業の業績を総合的に評価できる
・非現金的な費用である減価償却費を含んでいるため、資産価値やキャッシュフローに影響されにくい
・他の企業と比較することで、自社の評価を客観的に分析できる
一方、EV/EBITDAのデメリットは、以下のとおりです。
・EBITDAが業績を正確に評価できないことがある(たとえば、財務負担による利益の低下など)
・業種や業界によって、適正な評価が異なることがある
・企業価値の計算には、多くの要素が含まれており、正確な評価が難しい
なお、EV/EBITDAは、単独で企業の評価指標として用いられることが多いですが、他の指標と併用することで、より正確な評価が可能となります。
EV/EBITDAは、企業の評価指標の1つであり、企業価値を営業利益で割ったものです。企業の業績を総合的に評価するための指標として、投資家やアナリストに広く用いられています。その一方で、メリットやデメリットなど、評価には注意点もあります。正確な評価を行うためには、EV/EBITDAを含む複数の指標を併用することが重要です。
3)株価純資産倍率(PBR)
PBRとは、Price to Book Value Ratioの略で、株式の価格と企業の純資産価値(Book Value)との比率を指します。株式投資において、企業の価値評価指標としてよく使われます。
株式投資におけるPBRの意義
株式投資におけるPBRは、企業が保有する資産の価値を反映する指標として、その企業が適正な評価を受けているかを判断する上で重要な役割を果たします。一般的に、PBRが1.0未満の場合は、株価が企業の純資産価値よりも低下していると言えます。逆に、PBRが1.0を超える場合は、株価が純資産価値よりも高騰しているということになります。
具体的に言うと、PBRが低い銘柄に投資することで、割安感のある株を見つけることができます。また、PBRが高い銘柄に投資することで、将来的に企業価値が上昇する可能性が高い銘柄を見つけることができます。
ただし、PBRは単独で評価することはできず、他の投資指標と併用して判断することが重要です。
PBRの計算式と注意点
PBRの計算式は、以下の通りです。
PBR = 株価 ÷ 1株あたりの純資産
ただし、PBRの計算には、以下のような注意点があります。
・純資産の定義が企業によって異なるため、PBRの算出方法も異なる可能性がある
・1株あたりの純資産は、発行済み株式数によって異なるため、比較する際には注意が必要
・PBRは、単独で判断することはできず、他の投資指標と併用して判断することが必要
PBRを活用した投資戦略
PBRを活用した投資戦略として、以下のようなものがあります。
・PBRが低い銘柄に投資する
PBRが低い銘柄に投資することで、割安感のある株を見つけることができます。ただし、PBRだけで判断するのではなく、企業の業績や将来性を考慮することが重要です。
・PBRが高い銘柄に投資する
PBRが高い銘柄に投資することで、将来的に企業価値が上昇する可能性が高い銘柄を見つけることができます。ただし、PBRだけで判断するのではなく、企業の業績や将来性を考慮することが重要です。
・PBRを用いた相場判断
市場全体のPBRを比較することで、市場全体が割高か割安かを判断することができます。また、PBRが高い業種や低い業種を比較することで、業界全体の景気状況を把握することができます。
PBRは、企業の保有する資産の価値を反映する指標として、株式投資においてよく使われます。PBRが低い銘柄に投資することで、割安感のある株を見つけることができます。一方で、PBRが高い銘柄に投資することで、将来的に企業価値が上昇する可能性が高い銘柄を見つけることができます。ただし、PBRだけで判断することはできず、他の投資指標と併用して判断することが重要です。
4)配当利回り
株式投資において、配当利回りとは、株式の配当金と株価の比率を示す指標です。つまり、株価が高くても配当金が少なければ配当利回りは低くなりますし、逆に株価が低くても配当金が多ければ配当利回りは高くなります。
例えば、株価が2000円、1株あたりの配当が80円の場合、配当利回りは4%となります。配当利回りが高い銘柄は、株価が下落しても配当金で補えるため、投資家からの人気が高い傾向にあります。
しかし、配当利回りだけで銘柄を選ぶのは危険です。配当金が多い銘柄でも、業績が悪化すれば配当金が削減される場合があります。また、投資家にとって配当金は課税の対象になるため、実際に手に入る金額は少なくなります。
投資家が銘柄を選ぶ際には、配当利回りだけでなく、企業の業績、財務状況、将来性なども考慮する必要があります。
配当利回りは、1株当たりの配当金を株価で割ったものです。配当利回りが高い銘柄は、投資家にとって魅力的な投資対象となります。
ただし、配当金は企業の業績に依存するため、業績が悪化すれば配当金も減少する可能性があることを忘れてはいけません。また、配当利回りが高くても、銘柄価格が下落してしまうと実質的なリターンは低くなってしまいます。
5)配当性向
まず、配当性向とは、企業がどの程度の割合で配当を行うかを示す指標です。つまり、企業が利益の一部を株主に還元する割合を示すものです。
配当性向が高い企業は、株主還元に力を入れている企業と言えます。配当性向が低い企業は、利益を積極的に株主に還元することが少ない傾向があります。
では、なぜ企業は配当を行うのでしょうか?それは、株主に対する報酬として配当を行うことで、株主の意欲を高め、企業価値の向上につながるからです。
特に、配当を行うことで、企業の信頼性が高まり、投資家からの支持を得ることができます。また、配当を受け取ることで、株主の収入源となり、株式投資に対するリスクを抑えることができます。
次に、配当性向の計算方法について説明します。配当性向は、以下の式で求めることができます。
配当性向=配当金÷当期利益
この式により、配当性向が高い企業は、利益の一部を積極的に株主に還元していることがわかります。
ただし、配当性向が高いからと言って必ずしも良い企業とは限りません。なぜなら、企業は配当を行うことでキャッシュフローが減少するため、将来的な成長のためのインフラ整備や新規事業の展開に必要な資金を確保できなくなる恐れがあるからです。
以上が、配当性向についての説明です。配当性向は、企業がどの程度の割合で利益を株主に還元しているかを示す重要な指標です。ただし、単に配当性向が高いからと言って必ずしも良い企業とは限りません。株式投資をする際には、企業の配当性向を確認することも重要です。
今なら無料のオンライン講座!投資の達人になる投資講座6)ROE(自己資本利益率)
ROEとは、Return on Equityの略で、株主資本利益率とも呼ばれます。ROEは企業の収益性を測る指標の一つであり、企業が株主から調達した資本に対してどの程度の利益を生み出しているかを示します。ROEの計算式は、純利益÷株主資本です。純利益は企業が稼いだ利益から税金や利息などの経費を差し引いた金額を指します。株主資本とは、企業が発行した株式によって調達した資本のことです。
ROEが高い企業は、株主から調達した資本に対して高い利益を生み出していることを示しています。一方、ROEが低い企業は、株主から調達した資本に対して低い利益しか生み出していないため、投資家からはあまり魅力的ではありません。
ROEが高い企業は、長期的に見ても安定的で成長性のある企業である可能性が高く、株価上昇の期待も高くなります。一方、ROEが低い企業は、長期的な成長性に不安があるため、株価下落のリスクが高くなります。
ROEには、企業の業種や規模によって適正な水準が異なります。例えば、資本集約型の企業は、多額の設備投資が必要であるためROEが低くなる傾向があります。一方で、サービス業や情報産業などのように、資本投資が少ない場合はROEが高くなりやすいです。
また、ROEが高くても、それが一時的なものである場合もあります。例えば、企業が株主からの調達資金を投資に回して成長を目指している場合、一時的にROEが低くなることがあります。そのため、ROEだけで企業の収益性を判断するのではなく、企業の成長性や将来性なども考慮する必要があります。
ROEは、企業の収益性を測る指標の一つであり、投資家にとっては株価上昇の期待値を示す重要な指標です。しかし、ROEだけで企業の収益性を判断するのではなく、企業の業種や成長性、将来性なども考慮する必要があることを覚えておきましょう。
ROEは、企業の自己資本による利益率を示す指標です。ROEが高い銘柄は、投資家にとって魅力的な銘柄となります。ROEが高いということは、企業が自己資本を有効に活用していることを示し、株主に還元する利益が多くなることが期待されます。
以上が代表的な株式を選ぶ指標です。株式を購入する際の基準になるので何度も読み返しておきましょう
ただし、これらの指標だけで銘柄を選ぶことはできません。企業の事業内容や市場環境、競合状況なども考慮しながら投資判断を行うことが必要です。
また、株価は常に変動するため、投資を行う際には自分なりの投資戦略を持つことが大切です。